【珍獣使い】の憂鬱

彼女は俺が中学にあがる少し前に病気で亡くなりました。

ずっとそんなふうにして精神を病んでいましたから、生命力というものがびっくりするほど弱かったんでしょう。

肺炎という、あまりに軽い病気ひとつで、あっけなくこの世を去りました。

もしかしたら彼女は心のどこかでは、俺が『夏月』ではないとちゃんとわかっていて、死んだら本物の『なっちゃん』に会えるとでも思っていたんじゃないでしょうか。


最後の最期に彼女が俺に言った言葉は

「なっちゃん、ごめんね」でした。