【珍獣使い】の憂鬱

俺はまたひとつ大人になりました。

己の身は己で守らなければならない、と。


それから俺は母親の前では今まで以上に完璧に『夏月』を演じました。

外では完璧に男としての『夏』を演じました。

主演男優賞ものです。


でも心のどっかでは、いつか母親が現実を受け入れて、俺のことを『夏』として愛してくれる日が来るんじゃないかと、そう信じていました。

だけど、彼女は最後の最期まで、俺を『夏』として愛してはくれませんでした。