【珍獣使い】の憂鬱

「ねえ、どうして女の子にうんでくれなかったの?」と。

母親は笑って言いました。

「何を言ってるの。なっちゃんは女の子でしょ」

どんなに理解しても、どんなに大人ぶっても、俺はやっぱり子供でした。

「女じゃねえよ。おれ、男なんだよ」

初めて、母親の前で『おれ』と言いました。

父親はすでに仕事にでかけていましたから、俺と彼女を仲裁してくれる人はいませんでした。