【珍獣使い】の憂鬱

要するに俺らしいというのは、女の子の格好をして男言葉をしゃべる、それがたぶん一番自然な形だったんではないかと思います。

周りから見たら不自然でも、俺にとってはそれが一番自然なことだと思っていました。


でも、そんなことをすれば、俺はたちまちオカマです。

あるいは女装が趣味の変態です。

今は別にいいですが、6才の少年がそんなことをするわけにはいきませんでした。


2年生にあがる頃には、俺は女の子になりたいと切に願うようになりました。

とにもかくにも嫌だったんです。

味気ない色合いの服が、可愛さの欠片もない持ち物が、黒いランドセルが。

そんなこと、って思うかもしれません。

でも、俺にとっては重大でした。
6年間、ずっとそうだったんです。