【珍獣使い】の憂鬱

女の子の格好をすることに抵抗はありませんでした。

むしろ、そっちのほうが好きでしたし、落ち着きもしました。

でも、本来は男なので、女言葉を使うのは少しだけ嫌でした。


その逆に、男の子の格好をするのには抵抗があり、でも、男言葉を使うのは好きでした。

好きというか、それが自然ですから。


つまり、家の中と外で、俺はいつも抵抗のあるものとないものを半分づつ強いられ、結局どこにいても俺は何かしら演じていなければならなかったのです。


家の中では女言葉を使って『夏月』を演じ、外では男の子の格好をする『夏』を演じ、自分が自分らしくいられる場所が全くなかったんです。