【珍獣使い】の憂鬱

両親を心配させないように、とか。
そんなことではなくて、面倒だと思いましたから。


変に繊細ぶって泣いたり癇癪を起こしたりしても意味がないと思いましたし、結局のところ自分は望まれない子供だったんだと思いましたから、年齢的に大人になるまでは上手に

『楡川夏』と『楡川夏月』

を演じわけて生きていくのが一番賢いと。


だけどねえ、たった6才のくそガキが、いくら大人ぶってみたって限界ってものがあって、俺の心はどんどん壊れていきました。


母親は相変わらずでしたし、父親はそんな母を守るのに精一杯でしたから、俺にまで心が使えなかったんでしょうね。


一見しっかりしてきた俺を見て、父親は言いました。