【珍獣使い】の憂鬱

語気を荒げる俺に、ジンちゃんは少しだけ寂しそうな顔をして、しょんぼりしながら言いました。

「じゃあ…映画いっしょに見れないんですね。残念です」

その時、俺は…なんていうか…一体『なに』と話をしているのかわからなくなってしまいました。


こんな人間がいるはずがない。

こんな純粋で優しい人間がいるわけがない。


今まで見たことのない、今世紀最大の稀にみる『珍獣』だと思いました。

俺の完璧なまでに賢く論理的な頭脳が破壊された瞬間でした。

『感情』というものが、俺の手に負えないスピードで身体中を駆け巡り、冷静な思考能力は失われ、俺は初めて、本当に初めて人前で本当の心を曝け出しました。