【珍獣使い】の憂鬱

「嘘だし。指輪なくしたなんて嘘だよ。お前、バカじゃねえの?」

これでもうコンビも解散で、これで俺につきまとってくることもないだろう。
そう思いました。


でも、ジンちゃんは……

笑ったんです。

それはそれは嬉しそうに、にっこりと、あの憎らしいほどのラブリースマイルで。

そして俺に言いました。

「なーんだ。嘘だったんですか。でも良かったです」
「…良かったって何が?」

「だって大事な指輪なんでしょう?
嘘ってことは、なくしてないんでしょう?だから良かったです」


「お前…ほんっとに、ばっかじゃないの?ねえよ。大事な指輪なんて最初っからねえし!」