ジンちゃんは、1人じゃなんにも出来ないと言いましたが、そんなことはないんです。

だってジンちゃんには、お笑いの神様がついていましたから、俺がいなくても1人でだって充分にやっていけるはずです。


それなのに、俺と漫才やコントがしたいと。

つまり、ジンちゃんは俺を選んでくれたんです。


俺は考えました。

ジンちゃんのために俺が出来ることを考えました。

生まれて初めて、誰かのために生きることを考えました。

それまでも俺は母親のために生きていたのかもしれません。

でも、それは彼女のために『夏月』として生きてきた人生だったので、俺の本意ではありません。