【珍獣使い】の憂鬱

もとを正せば、俺は女装がしたくて芸人になろうと決めたはずです。


ジンちゃんには女装癖があることを告白していなかったので、養成所に行く時はいつも男の格好をしていました。


男の格好といっても、あの誕生日の時にジンちゃんが
「いつもかわいい格好をしてるから」
と言ったくらいには、男にしては可愛らしい服装をしていたと思います。


だから、就職活動をはじめる前に、一度くらいは女の子の格好で外を闊歩してみようと、不意にそんなことを思いたったんです。


クローゼットの中から俺が選んだ服は、淡い桃色のパフスリーブのワンピースでした。