【珍獣使い】の憂鬱

ジンちゃんは、そんな俺に根気よく付き合ってくれたと思います。


もう、それだけで充分だと。


俺のせいでジンちゃんの人生まで狂わせてはいけないと。

その辺りだけは、随分と人間らしい決断だったと思います。


就職しようと思いましたが、すぐに行動に移せるはずもなく、俺はしばらくの間1人でぼんやり過ごしました。

部屋の中、ずーっと膝を抱えて、なんにもしないで、誰にも会わず、食事もろくに摂らず、ただただ空(くう)を見つめて過ごしていました。


心を空っぽにしたかったんです。

ちょっとでもジンちゃんとの思い出を残してしまうと、心を仕舞えないと思ったからです。