【珍獣使い】の憂鬱

辞めようと決めたその日から、俺は学校に行かなくなりました。

桜が咲き乱れる4月の半ば頃だったと思います。

俺は欠陥だらけの人間でしたが、学歴だけは誇れるものがあったので、どこか大きな会社に就職しようと考えていました。


芸人よりも、そっちのほうが俺らしい。

そう思ったんです。


俺らしく生きるために芸人の道を選んだはずなのですが、やはり俺はちょっと夢を見ていたのかもしれません。

俺らしく、なんて言っても、その時の俺は、俺がどんな人間なのかすらわかっていませんでしたし、そもそも俺は人間ではなかったですから。


いかにも人間くさい芸人という人種に憧れてただけだったんだと思います。