鯖を読んでる転校生=社長!?

優しく微笑む光河の顔がどこか寂しげだった。

その顔を見て胸がキュッと痛む。

今まで頑張って来たのに・・・。

風邪引きながら仕事したり、夜中急に会社に行く事もあった。

しんどいはずなのに光河は弱音も吐かないで一生懸命やってきた。

会社のことも精一杯やってるけどあたしの相手だってちゃんとしてくれる。

こんなに頑張ったのに・・・。

でも旬がこの事を口外するのを止める権利はあたしたちにはない。

光河のこれからが決まるのは旬次第。

結局あたしには何も出来ないんだ。

なんて無力なんだろう。

悔しくて思わず唇を噛みしめる。

「・・・・なぃ・・」

小さな声が聞こえて声のした方を見る。

「言わないよ」

え?

「正直、よしかず、じゃなくて、吉一しゃ」

「光河でいい」

「こ、光河の事は今すぐバラしてやりたい。・・けど、結輪のそんな顔見たら言えないからさ」

そう言って旬は優しくあたしの方を見た。

ドキッ

その優しい笑顔に不覚にも一瞬ドキッとしてしまう自分がいる。

やばいやばい!光河にバレたら!!

あたしは慌てて平然を装う。