鯖を読んでる転校生=社長!?

同棲してることとか、光河が実は吉一グループの社長で、とか・・・。

いろいろ聞かれたらどうしよう・・・そぅ、あたしじゃ対処しきれないし、ホント、なんでこういう時にうまく言えないんだろう・・・。

語彙力のなさも、ポーカーフェイスができないのも・・・情けない。

結局あたしは無力なんだな。

「結輪」

途中で黙り込んでしまったあたしを光河は再び抱きしめた。

「迷惑かけてごめんな」

違うんだよ、光河。

ただ自分が無力過ぎるだけなの。

そう言いたいのになぜか声が出せない。

いつもよりさらに優しい光河の声にまた泣いてしまいそうになる。

泣き虫なんて要らないんだよ、あたし。

自分に怒る。

「俺が何とかするから。俺が深野に話すから」

仕事もあるのに。

忙しいのに。

迷惑かけてるのはあたしの方だ。