鯖を読んでる転校生＝社長！？

｢・・・ゎ・・・・ゅゎ｣

声がする。

あたしは重たい瞼をゆっくり開けた。

眩しくて一瞬目を細める。

｢結輪ッ！！良かった｣

目の前には大好きな人。

それと同時に蘇る記憶。

｢こぅ・・・が？あたし・・・｣

｢物置部屋に倒れてたんだよ｣

物置・・部屋・・そぅか、あそこ、物置部屋だったんだ。

辺りを見渡すといつもの部屋だった。

｢帰って来たってのにどこにもいないからみんなで探したよ｣

少し困った顔をする光河。

｢ごめんなさい・・・｣

小さな声で謝った。

｢見つかってよかったよ、ほんとに。大丈夫か？｣

寝たままのあたしの頭を優しく撫でる。

その途端涙が頬を伝った。

もうダメだな、あたし・・・。

顔をぐしゃぐしゃにして泣くあたしを光河はそっと抱き抱えた。

｢・・・・・・｣

黙ってあたしの頭を撫で、優しい腕であたしを包んでくれる。

｢大丈夫だから｣

耳元でそっと囁く光河。

こんなにも大好きな人が必死になって築き上げたものをこんなあたしがめちゃめちゃにしてしまうんだ。

泣いても泣いても涙は枯れることがなかった。