鯖を読んでる転校生=社長!?

考えるだけで一気に不安になる。

「人生って辛すぎる・・・」

こんなに悩むくらいなら、毎日節約バイトの日々を送ってた方がまだマシだった。

自己嫌悪に陥りながら行く宛もなく結局家に帰る始末。

「結輪様、お帰りなさいませ」

玄関を開けるとメイドさんが出迎えてくれた。

「あ、うん、ただいま」

呆然と返して部屋に向かう。

こんな暮らしをしてなければ・・・貧乏のままだったなら・・・。

あたしは自分の最低さに気づかなくて済んだのかもしれない。

どうしようもないことばかりを考える。

今更遅いのに・・・。

自分の部屋の前まで来て部屋の電気がついていることに気づく。

光河帰ってきてるんだ。

あたしは急に部屋に入りたくなくなった。

こんな顔見られたくない。

なんて話したらいいかわからない。

黙ってればいい事だけど、光河の顔を見たら絶対隠せない気がする。

ドアの前から後ずさりをして走り出した。

「結輪?」

部屋の中から微かに光河の声が聞こえた。

嫌だ、探さないで!

あたしは大きな家の未だ知らない場所へ駆け出した。

いつもは1階で事足りるこの家。

階段は1度も上ったことがない。

階段を見つけては駆け上がる。

案の定2階はいくつか空き部屋があった。

その1室に入りしゃがみこむ。