鯖を読んでる転校生=社長!?

「ご、ごめん、旬、バイトの人数が足りないみたいですぐに行かなきゃダメなんだ。ほんとごめん」

「え、ちょっ・・・結輪待っ・・・・・」

旬の言葉を聞き終わる前に保健室から飛び出した。

最低だあたし。

旬に何の返事もしないで逃げるなんて・・・・・。

文化祭で賑わう校内を全速力で駆け抜けた。

自分が嫌だ。

こんな最低だったんだ。

何とも言えない自分に対する嫌悪感。

「あたしってこんなに黒いやつだったんだ」

絶望で頭がおかしくなりそう・・・。

何も考えずに街を歩く。

30分ほど歩いてふと思った。

あたしはどこに向かってるんだろ・・・。

家に向かうわけでもなくただひたすら歩いていた。

見慣れない街、行き交う人々。

貧乏暮しのあたしには縁がなかった隣街かな?

あたしはそんなことを考えていた。

笑顔の人を見る度に保健室での自分の行動が蘇る。

あたしは・・・この中の誰よりも最低な人間だ。

明日からどんな顔して旬と会えばいいのかわからない。

光河にも話すべきなのか・・・。

旬以外の人には聞かれていないだろうか・・・。

光河が吉一グループの社長だってこと誰にもバレてないかな・・・・。