しーくれっとらぶ

「大学行っていいんだぞ?」

『でも……』


言葉が詰まるあたしに聖夜は言った。


「金のことか?」

『…それもある…。…これ以上負担かけちゃ駄目かなって…』


大学に行くにはかなりお金が必要だし……、これからは妃芽も大きくなっていってお金もたくさんいるようになるから……。

それに……


「金なら全然大丈夫だぞ?」

『…だけど…』


いつまでも頼りっぱなしじゃいけない気がする……。
小さい時からずっと聖夜に頼りっぱなしだった……。

あの家で守ってくれてたのも…
そこから救い出してくれたのも…
辛い時にずっと助けてくれたのも…
高校に通わせてくれてるのも…


全部…


全部聖夜だから……。


これ以上頼ってばかりじゃ…―


「俺的にはまだまだ頼ってもらってかまわねぇよ?」

『え……?』


あたし声に出してた……?

ううん、絶対に声には出してないはず。

ちゃんと口閉じてたし、頭の中で考えてただけだったよね!?


「唯の考えてることくらいわかるよ、なぁ梨華?」

「うん。すぐわかる」


聖夜と梨華さんはそう言って笑った。