しーくれっとらぶ

『はぁー…』


あたしは両手を口の前に持ってきて息を吹きかけた。

白い吐息があたしの手を温める。

今あたしは龍のマンションの前にいる。

この前慎君から龍の話を聞いたあたしは本当のことが知りたくて今日ここで龍を待ってるんだ。

あたしの胸元には2つのネックレスが光っている。
右手の薬指には指輪も。

もしあの時慎君の言っていたことが本当なら、また前みたいに戻れるかもしれない。
そう思って、そう願ってあたしはネックレスと指輪を身に着けてきた。


『遅いな……』


マンションに着いてから1時間が経った。

やっぱり仕事が忙しいのかな。

あたしはそう思って携帯電話で時間を確認した。

今日は絶対に帰らない。
龍と話すんだ。

あたしはそう自分に言い聞かせて携帯電話をバッグの中にしまった。