しーくれっとらぶ

「おい」


その時後ろから手を引かれた。


『ん?』


園田君に呼ばれたんだと思ったあたしは振り返った。


『え……』


だけどあたしの腕を掴んでいるのは彼じゃなかったんだ。


『慎…君……』


そこにいたのは慎君だった。


「ちょっと来いよ」

『え…ちょっ…』


慎君はそう言うなりあたしの手を引いて歩き出した。


『ちょっと!あたし用事が…―』


園田君が呆然とあたしたちを見ている。


「ちょっとこいつ借りるから。帰ってていいよ」


慎君は園田君に向かってそう言ってまた歩き出す。


『慎君……!?』


それから慎君は何を聞いても答えることなく無言で歩き続けた。

そしてたどり着いたのは人目につかない路地裏。