「だから違うって言ってるでしょっ!!」


玄関のドアを開けたのと同時にいつもと様子の違う亜紀の声が聞こえた｡


『どうしたのかな…?』

「わからへんι
なんかあったんかな｡」


あたしと龍君は驚いて顔を見合わせた｡


亜紀の声から推測して亜紀と慎君は喧嘩しているみたい｡



あたしと龍君は急いで声のするリビングに向かった｡



「まじお前､意味わかんねぇんだけど｡」


リビングに入ると､慎君はソファーに座って隣に座っている亜紀を横目で睨んでいた｡


そしてあたしたちが入ってきたことに気付くと､ダルそうに立ち上がった｡


「お前ら何しとんι?
声むっちゃ聞こえてんで?」

「別に｡」


龍君にそう言うと慎君はリビングを出て行き､自分の部屋に行った｡


「亜紀なんしたん?」


龍君はそう言って俯いている亜紀の方を見た｡