涙恋ーナミダコイー




ほとんど投げやりの言葉だけが出ていた。


本音は何一つ言えないまま、伝えたいことも言えないままで…。



「そう。なら好きにさせてもらうから」


私が掴んでいた腕がするっとすり抜けて行った。


徐々に拓真との間に距離が開いていく。


そしてとうとう見えなくなってしまった。


それと同時に私の体から力が抜けたように私はその場に座り込む。


「っぅ…拓真の馬鹿…」


私の泣き声だけが静かな廊下に、響いていた。