だけど、ふと誰かの影が私の影と重なった。 「新君早かった―…」 新君が戻ってきたのだと思っていたのに…。 私は顔を上げると言葉に詰まった。 「お前、ここで何してんの?」 そこに立っていたのは新君ではなく、拓真だったから。 幻覚でも見ているのかと瞬きを繰り返しても景色は変わらなかった。 そこにいる拓真は幻覚でもなければ、現実だと嫌と言っても分かる。 「別に…拓真こそどうして……」 どうしてここに?なんて言葉を聞く前に拓真がここに居る理由なんてすぐに分かった。