ある日
みんなが
泣いていました

可哀想に
まだ子供なのに

口々に
そんな事を
言っていました

ハンズが
白いテントの前を
通り過ぎようとした時
中から軍医が
出てきて
ハンズに言いました

君を呼んでいる

ハンズは
軍医に手を引かれ
白いテントの中に入った


そこには
全身を包帯で巻かれた

レインがいました


所々に血が滲み
苦しそうに
小刻みに息をしている
よく見たら
両足の膝から下が
ありませんでした

顔も包帯で
片方の目だけしか
見えない

隣に座るハンズ

レインが
かすれた声で
言いました



痛いよ…

怖いよ…

…俺…死ぬの…?

寒い…寒いよ…

ハンズは
何も言わず
黙っていました

レインは
痛みと恐怖で
いっぱいでした

レインはその日
歩いていた
ただ
歩いていた
すると急に
すごい衝撃が走り
体が飛んだ
気付いたら
足がなくなっていた

地雷を踏んだのでした

もう自分は
死ぬという事が
まだ幼い
少年のレインにも
よくわかりました

でも
感情のないハンズには
なにも
わかりませんでした


ただ
なにか違った
いつもとなにか違っていました



その理由すら
ハンズにはなにも
わからなかったけれど


ゆっくりと
ハンズは口を開く



『お前の両親は?』



ハンズはレインが
いつも言っていた
言葉を
ただ口にした


意味は
わからなかったけれど
ただ
口にした