ハンズは
なぜ
涙が出るのか
その理由もわかりません

でも
涙は次々に溢れて
こぼれ落ちていきました

ハンズの頭の中にも
老犬と過ごした日々が
映像のように
ながれていました

老犬は
ハンズに言いました

君の手は
暖かい…
ありがとう
側にいてくれて
ぼくの
大切な…
大切な…
大切な人

老犬は体を伸ばし
ハンズの頬を
ペロリとなめました


そして
もう
ぴくりとも
動かなくなりました


ハンズは
冷たくなっていく
老犬を膝に抱えたまま


『さようなら』


と言いました