ニーナは
ハンズに話しました

初めて
ハンズに出会った
あの日のことを

ハンズの好きなところ
ハンズの嫌いなところ

ハンズと過ごした
日々を全て
自分が喋れる間
ずっと話そうとしました

無表情のまま
ハンズは
ニーナを
見下ろしていました

ニーナは
自分がどれほど
ハンズを愛していたか
ハンズに話し続けました
ハンズを愛した日々を
自分自身に刻むように
話し続けました


急に
胸のあたりが
苦しくなる


ニーナの命は
消えそうに
なっていました

ニーナは
不安になりました

自分は
なんの為に
産まれたのだろう
自分の人生に
意味はあったの
だろうか?


ニーナはポロポロと
涙を流し
もっと生きたい
そう思いました

でも
もうニーナの意識は
薄れてきていました
死の闇が
ニーナを
包み初めていたのです

ハンズは
ただニーナを
見ていました

けれど
いつもと違った

わからなかったけれど
なにかが違った


ハンズは
いつもニーナが
言っていた言葉を
口にしました




愛してる




もちろん
ハンズには
その意味は
わかりませんでした

でも
ニーナは
薄れゆく意識の中
はっきりと聞きました


ニーナの顔が
笑顔でほころぶ

力を振りしぼり
ハンズの手を取り
自分の頬に添えました

暖かい…


ニーナは初めて
愛される喜びを
知りました
こんなにも
幸せな気分は
初めてでした


ニーナにはもう
不安なことなど
なにもありませんでした