段々と見えて来る捺海の姿。
見ると、捺海は右腕を握り締めながら
隠していた。
誰にも見せたくない……
そんな感情が伝わって来る。
握られている腕を見ると手首には
リストバンドが付けてあった。
そう言えば、アイツ……
いつも、肌身離さず付けてたな。
今まで、そんな気にしてなかったけど
良く考えてみたら……
アイツが、リストバンドを
外してる所なんて見たことない。
捺海が付けているリストバンドは
服に合うように選んでいるのが
分かる。
捺海の顔を見ると………
今まで、見たことがない表情だった。
何かを怖がっているような表情と
焦っている表情が混ざっているような
表情をしていた。
すると、捺海は我に返って
床に散らばった破片を拾い
始めた。