春綺君が、あたしの指を口の中に
入れていた。





一瞬、何が起きたのか全く
分からなかったけど、周りにいた
客の叫び声で我に返った。







「はっ、春綺君……何して……」






(血は、止まったみたいだね。


捺海ちゃん、こっちに来て。)






春綺君は、落ち着いた声で言って
あたしの手を握ってどこかに
引っ張って行った。






春綺君、どこに連れて行くんだろ。






あたしは、周りにいる女達の睨む
視線を感じながら付いて行った。