春綺君の車には甘い
香りが漂っていた。
そして、お互い趣味が
合って盛り上がっていた曲が流れている。
だけど、車には会話は
なく曲だけが響き渡る。
さっきのこともあって
何だか気まずい。
あたしは、気まずさを
感じながらマンションに着くのを待っていた。
そして、何時間か経ってやっとマンションに
着いた。
バタンッ……
高級車から降りると
春綺君も車から降りた。
あたし達は、お互いに
向かい合わせながら
話した。
「わざわざ、ゴメンね。
じゃあ、またね………」
あたしは、そう言って
マンションの方を向いて重く感じている足で
向かった。
するとー……
(待って……)
ずっと黙っていた
春綺君が話し掛けて来た。