「春綺君…………」 最低男とは違う甘い 香りが漂う。 春綺君は、あたしを 強く抱き締めた。 強く強く抱き締めながら 言った。 “誰もいない。 だから、思いっ切り 泣いて良いんだよ” 優しい声で、そう言ってくれた。 その言葉を聞いて 抑えていた気持ちが 一気に溢れ出して しまった。 静かで誰もいない薄暗い公園には………… 思いっ切り泣いている あたしの泣き声と……… 重なる二つの影が 存在していた。