もう、あの日から泣かないと 決めたのに………… あたしは、涙をこらえて スカートの裾を強く握り締めた。 (それじゃあ、コレで私は 失礼するよ。) そう言って最低男のお父さんは 立上がってリビングを出た。 その瞬間、力が一気に抜けた。 “君のことなら何でも知っている……… 学歴、友人、恋人………家族……… 可哀想にねぇ…… まだ、幼かったのに。” その言葉が、あたしの頭の中で 何回も繰り返す。 嫌だ…………… 思い出したくない……………… あたしは、涙をこらえながら 頭を抱え込んだ。