約束はもう終わり



「おばちゃんたちは俺が説得する。
お金は俺の絵を気に入ってくれてる人がいい絵なら画廊に置いてくれるって言ってたから大丈夫や。俺こうみえても評価ええんやで。」


「‥いい絵なんてそんな沢山描けないでしょ。」


「――アユが側におってくれたら描ける気がする。なぁアユお願い、一緒に来てや。俺アユおらなあかんねん。絶対不幸にはせえへん、約束する。」


そのすがるような瞳を見たらついうんと言いたくなる。
私だってハルと離れたくない。
ハルがいなきゃ生きていけない。
私にとってハルは自分よりも大切な存在だったのかもしれない。



「――急すぎるよ、ちょっと頭整理したいから返事は待って。」


「うん、また返事聞かせてや。
俺はアユと夢叶えたいし、あの約束も果たすつもりやから。」



あの約束、ちゃんと覚えてくれてたんだなとちょっと嬉しく思ったけどいまの私には笑い返す余裕もなかった。