そう尋ねるとハルは少し間を置いてあんなと続けた。



「俺、大学やめようと思うねん。」


彼の思わぬ告白にびっくりしているとハルのアユと呼ぶ声でやっと我に返った。


「――なんで?」


「俺がしたいことは大学ではできひんことやねん。俺な、いろんなとこ旅していろんな絵描きたいねん。」


そう話す彼の瞳はいつになくキラキラ輝いていてイキイキしていた。


「大学卒業してからでもいいじゃない。
せっかく学校入ったのにもったいないよ。」


「大学卒業するのは2年も先やん。そんなに待てへん。」


ハルが思い立ったらすぐ行動したい人なのはよく知ってる。でも人生を大きく左右することなのにそんな軽く決めちゃっていいの?



「でももしそうしたら私たち離れ離れになっちゃうんだよ?ハルは平気なの?私は絶対嫌だよ。」


ハルがいないなんてありえない。
想像できないし、したくない。


「さっきも言ったやろ?
俺はアユから離れたくない。だからアユも一緒に来てや。」


ちょっと待って、頭がついていかない。
私も一緒に行くってなったら私はどうなるの?



「待ってよハル。私もう就職先だって決まってるんだよ?大学も卒論だけだし、それに親にはなんて言うの?
ハルが旅に出るから私もついて行きます?そもそもお金は?
収入のない二人でどうやって暮らしていくの?いくらなんでも無謀過ぎるよ。」



本当は応援してあげたいけど今回ばかりはできそうにもない。