「でさ、リズに聞きたかったことあるんだけどさ。
すっごく聞きたくて、気がおかしくなるぐらいなんだけど…」


放課後、下駄箱で愛香は真面目な表情を浮かべていた。


「え?何?」

リズは靴に履き換えると徐に顔に掛かってくる髪を耳に掛けた。

「ユウだよ。
めちゃくちゃ仲良さげに見えたんだけど、付き合ってんの?」

「ええっー!!
なっなんで??」

「だって、この前、二人で歩いてたじゃん!
理久とあたしが行った時よ〜

なんかラブラブに見えたんだけどっ」

愛香の瞳は、次に出てくるリズの言葉を期待しているかのようにキラキラしていた。

「ち…違うよ〜
そんなんじゃないよっ。
ユウは、優しい人だからそう見えただけだよ〜」

「そう〜?
なんか雰囲気はまるで恋人同士みたいだったけどぉ〜?」


なんだか…愛香の疑いの目が怖いと感じたのは気のせいだろうか…リズはそんなことを考えていた。


「それに、ユウって呼び捨てにしてるし〜!
怪しすぎるー」


「なっなんでよぉ?
全然 普通のことじゃない〜
愛ちゃん、考えすぎだって〜

…あ…」


下駄箱から外へ向かおうとしたその時だった。

隣の下駄箱から、聞き慣れた声と共に二つの人影が目に飛び込んできた。

「あ、って何よ〜?
そうやって、いっつもリズはごまかすんだかー」

「愛ちゃん!黙って!」