「何を知ってるんだよ?
あの男とお前は付き合ったことでもあるのかよ? 」


「でもわかるよっ!
話しなんかしたことないけど、歌聞いてたら、わかる。

ユウはそんな人じゃないよ。」

愛香は唇を噛み締めた。


「…見えるものしか
見てないくせによ。

憧れのバンドだか知らねぇけど、お前もアイツもいい加減、目を覚ませよ。
ただのお遊びバンドが何をしてくれるんだよ」

呆れたように理久は溜め息をついた。


「…なによ…
ただ悔しいだけなんじゃん!

リズがユウを選んだから、
悔しいだけなんじゃないの?!

頼って欲しい時にリズは自分の元に来ないからって、ひがんでるだけじゃん!

理久だって、リズの何を知ってるっていうのよ!

いつもリズを傷つけてばっかりじゃない!!」


愛香はずっと思っていたことを理久にぶつけた。







「……ごめん…
言いすぎた…」





静寂にいたたまれなくなり、
愛香は思わず謝った。


理久が見せた表情に、
愛香は同じ辛さだと味わった。






こんなに想っているのに






届かない








こんなに慕わしいのに






届くことはないんだ。