学校生活とは、友達でほぼ決まるものだと思う。


喜びや悲しみ、苦しみを共有してくれる友達がいるかいないかで全然違ったものになるからだ。


そして、いつも一緒にいた友達がいない日々は、思った以上に辛いことだと愛香は痛感していた。


「あー、つまんない…」


昼休憩、教室の卓上で弁当を広げている愛香は肘をつきながら、大きな溜め息を漏らした。


「な〜に?
愛香らしくないねー。」

「ホントー、マジに元気ないよね、最近の愛香」


向かい合わせに並べた机で愛香のクラスメイト達が不思議そうな顔を浮かべていた。


「バカ。
川嶋さんでしょ〜?
原因はー」


もう一人のクラスメイトが指摘すると彼女等はようやく納得した。


「いつまで休むのかな?
もう長いよね〜。」

「ホントっ。
このままだと不登校になっちゃうんじゃないの?
そうしたら3人目になっちゃうじゃん〜」

「だよね、大丈夫なのかな?
ねぇ!愛香っ!
川嶋さん、どうしちゃったの?
何か悪い病気なの?」

一斉に愛香へ視線が注がれたが、当の本人は心ここにあらずといった感じだ。

「…ダメだ、こりゃ。
川嶋さんが来ないと話にならないね。」

ぼそぼそと小声で彼女等が話しているなか、愛香は突然、目に入ってきた理久の姿を捉えると 人が変わったように席を立った。

「ちょっと!
どこ行くのよー愛香っ〜」

愛香は何も告げず、ただ目的に向かって突き進んだ。

「ちょっと、但馬、いい?」

理久の前に立ちはだかった愛香は眼光鋭くこう言い放った。