「先生、掃除終わりました。」

放課後の職員室。

リズは担任の上田先生に反省文を手渡した。

「お~う、ご苦労さん。川嶋、お前あと一回で…わかってるか?」

凝視しているプリントから目を外した上田先生は、人差し指でズレ落ちてくる眼鏡のフレームを押さえた。


リズは知っていた。

この眼鏡はダテ眼鏡だということを。

先生の風格にこだわる上田先生。

年齢の割には童顔すぎるその外見にハクをつける為のダテ眼鏡。

特に職員室にいる時は必ず掛けている。


「…なんだ?
なんか先生の顔に何かついてるか?」


リズは先生から視線を外した。