「今の若者の流行りは
どざえもんごっこか〜」

突如現れたその男は、あご髭をさすりながら妙に感心した声を漏らしていた。


「…一体いつの時代だよ」

ユウは上体を起こすと、ずぶ濡れの前髪を大きく掻き上げながら、苦笑した。


「お前、最近 着拒してるだろ
ぉ〜? 全く捕まらねぇーしよぉ〜」


スキンヘッドのその男は外見のイメージとはほど遠く、声がかなり高く、あご髭がうっすらと伸びていた。
歳は20代後半といった感じだろうか。
鍛えられた筋肉隆々の体格は、威圧感を醸し出していた。


「バレた?」

ユウはにんまりと笑った。

「ぬおおおっ〜!!
可愛いげのねぇクソガキ〜 !!」

一触即発のような雰囲気で、
その男はユウをヘッドロックで締め上げた。

なにっすんだよっと、のたうち回るユウは一向に締めた手を緩めない男に向かって、ジャーマンスープレックスを炸裂させた。

2人は背面から噴水の中に落ちるとそこから小競り合いを繰り広げた。

「っにすんだよっ!」

「くらいやがれっ!
モナリザオーバードライブっ」

2人は噴水の中でプロレスごっこに夢中になっていた。