「そろそろ帰ろうか。」と思い、立ち上がろうと顔をあげたとき、きっと私の顔は一瞬で輝きだしたんだろう。
驚いた。
こんなに静かなところなら足音の一つや二つすぐに気付くはずなのに、気付かなかった。
いつからそこにいたのかわからない。
でも私が今、一番会いたかった少女の姿がそこにあった。
「ゆず!」
私は喜びのあまりいきなり立ち上がって木の幹でできた穴の天井に思いっきりあたまをぶつけた。
「いったぁあああ…」
「……ふふ、あはは!大丈夫?」
頭を抱えてしゃがみ込む私だったが、痛みなんてすぐにひいた。
目の前のゆずがいきなり笑いだしてぶつけた頭を撫でてくれたんだ。
昨日の印象からしてゆずの笑う顔は想像できなかったけれど、今目の前でゆずが笑ってることに驚いた。
その笑顔は普通の少女と変わらない。とても素敵なものだった。
「ゆずが、笑った。。」
「うん、私も笑うの久し振り。自分でも驚いた。」
「良かった。ゆず、もうここには来ないんじゃないかと思って…」
「私のこと、待っててくれたの?」
「うん!ゆずと遊んでみたくて!私みたいに森で遊ぶような女の子、学校にはいないから、ゆずと友達になれて嬉しかった。昨日の夜も眠れなかったくらい。」.
「とも、だち?私と友達になってくれるの?遊んでくれるの?」
「もちろん!友達だよ。」
そのときのゆずの信じられないというような顔、喜びの顔、
そして、そのときの涙を私は今でも忘れられないでいる。
