「ここで新婚生活してるんだぁ♪」
玄関に入るなり辺りをキョロキョロと見回しながら、リビングへ向かう4人。
よく考えたら、家に友達が来るのは初めてだよな。
心菜と2人だと広すぎるリビングは、6人も居れば狭いくらいだ。
帰りにスーパーに寄って買った物をキッチンに運びながら思う。
……買い物途中に心菜と打合せしたけど大丈夫かな。
買った物をキッチンに俺が運んでる時点で可笑しいだろ。
それに気付かず、皆と一緒になって騒ぐ心菜に……かなり不安。
「心ちゃん、寝室見た~い」
「あっ! 私も見たいです」
予期せぬ愛未さんと沙耶の言葉に、心菜の顔色が一気に変わった。
「え!? だっ、だめ!」
その慌てぶりに、2人がニヤリと笑う。
あ。
何かヤバイ気がするんすけどー。
リビングを中心として、左右にある2つの扉。
右に愛未さん。左に沙耶。
バラバラの方向に向かう2人を同時に、止めれる訳もなく。
愛未さんの腕を引きながら、振り返って
「沙耶ちゃんっ!」
心菜の叫び声だけが虚しく響いた。

