動物園から出た俺達は、ゆっくりと歩いていた。

朱色に染まった空が、淡い紺の空と半分になりかけていた。


隣で、さっきのキーホルダーを袋から出し見つめてる。


「そんなに気に入ってるんですか?」

「うんっ! 陽呂が買ってくれたしね」


えっ?

胸が小さく音をたてた気がした。

驚いた俺の顔に気付く事もなくキーホルダーを見つめ続ける。


「あっ、1つは陽呂が持ってて?」

「え? でもそれは心菜さんの為に」

「お揃いね?
ってもイルカとラッコだけど」


そう笑いながらイルカを俺の前に差し出した。


お揃い?
何か今日の心菜、変じゃね?


やっと、俺の顔に気付いたのか、急にそっぽを向いて、


「ここに来た記念よ、記念っ」


ぶっきらぼうに言い放った。