あれから随分経つけど…… 心菜の部屋からは、物音一つしない。 寝た、のか? ちゃんと布団被ったかなぁ。 まだ夜は冷えるし。 ――コンコン 「心菜さん?」 やっぱり、寝てるか。 ドアのノブに手をかけて様子を見ようとした瞬間、中から声が聞こえた。 「……何?」 え……。 「あ、起きてたんですか」 「……だったら?」 だったら? って言われてもな。 「えーっと、お菓子食べます?」 自分で聞いときながら、何ちゅう質問してんだよ。 「……いらない」 だよな。 「じゃ……俺、部屋戻りますね」