「美鶴は、本命貰ったの?」


話を変えようと、咳ばらいをしながら尋ねた。

だって、私の話をこれ以上膨らまされても困る。


「あー、俺は今日の夜♪」


って、最近の美鶴は夜コッソリ出て行って、朝方に帰る事が多い。

黙ってるけど、中学生のくせにそんな時間に何してるのかな。

変な事……してないよね?


「美鶴〜、中学生のくせに生意気じゃねーか」


そう!
そうよ、陽呂。
もっと言ってやって。


って……。


「陽呂! 美鶴をイジめちゃ駄目って言ってるでしょ!?」


言ってくれるのは賛成したけど、美鶴の頭を両手で押さえながら振り回してるのは許せません。

陽呂は、すぐ美鶴を虐めるんだから!


「はい、すみませーん」


と言いながら、美鶴をくすぐって遊ぶ陽呂を見て


私はいつか“本命”としてチョコを渡せるのかな?


そして、いつか……


本当に“好き”って伝えれるのかな?


そう思ったんだ。


この時は、まだ知らない。


後、たった2年で陽呂と甘い甘いチョコを食べれる事なんて……。


−07.2.14−