「で、チョコは渡さなかったんだ」
そう聞いた瞬間、愛未の顔が泣き顔に変わった。
「そうなのよ!
すっごーい有名店のチョコに並んでさ?
ラッピングも家に帰ってやり直してさ?」
そう言いながら机の上に出て来たチョコの包装をバリバリを破り始めた。
「そっかぁ……」
「だから一緒に食べようね!」
そう言って、差し出されたチョコを口へと運ぶ。
「愛未だけを見てくれる人はいるんだから、失恋なんて…」
「違うわよ! 心ちゃん!」
へ?
話してるのを止めるもんだから、口の手前でチョコを止まってしまった。
「失恋じゃないの!
そんなの気にもしてないわよ?
勇二君が、そんなキモイ女を彼女にしてた事に腹が立つのよ!
そして、それを見抜けなかった私にも!
あー! まだまだ男を見る目がないわ……私!」
そう言いきるとチョコを2粒一気に口にほうり込んだ。
「愛未……好きだったんだよね?」
「ん? 好き?
違う違う、顔よ、か・お!」
……愛未ってば、また顔で選ぶから。
バレンタインってイベントに乗っかりたかった、なんていう動機から失敗なんだよ。

