「実は俺、傘持ってたんすよねー」 え……。 「だけど心菜さんが待っててくれてた事が嬉しくて、黙ってたんですよね」 照れ笑いを浮かべて私を優しく見下ろす。 「持ってたなら言いなさいよね。 手繋いで歩くのなんて初めてだったんだからっ」 「えっ、覚えてたんですかー?」 「……知らなーい」 今度は私が陽呂の手を引っ張り先に歩いた。 傘をさし荷物を持つ陽呂は『濡れるってば!』って慌てて傘を私に傾けたけど。 こんな優しさは……昔から変わらないんだね。 -end- -07.1.20-