「仕方ねぇなぁ」


そう言いながら近付く俺に気付いた心菜は、叫びながら遠退いた。

……はい?


『いやぁぁぁ』って、何だよっ!


「そっ、そんな子供の前で駄目。駄目よ、陽呂!」

「へぇー、じゃあ子供の前じゃなきゃいいんだ?」

「そっ、それも駄目だけど」

「じゃあ、いつならいいわけ?」


ジワジワ寄る俺から逃れるように、後ろに下がる心菜。

でも、それをまた追い詰める。


「ひっ、陽呂」

「んぁ?」


心菜が指差す方を見下ろすと、その様子をまじまじと見てる愛姫が居た。

2人揃って引き攣った笑みで返す。


「けんかぁ?」

「ちっ、ちが……えぇ!?」


心菜が愛姫に説明しようとした瞬間、腕を引き頬にキスした。

頬を押さえ、一気に真っ赤になったのを無視して、


「な? 愛姫、仲良しだろ?」

「うんっ。なかよしぃ♪」


そう言って愛姫を抱き上げた。



勿論、後から心菜の『陽呂ー!』って怒った声が飛んだけどな。



−07.3.14−