――ガチャ
心菜の部屋を開けた愛未さんが
「なーんだ。心ちゃんの部屋じゃない。
そんなに嫌がるから何かあるのかって楽しみにしたのに。
じゃあ、寝室は向こうってことね」
つまらなさそうに言いながらも、また笑い直し沙耶の方を見た。
「あれ? こっちは……陽呂君の部屋、ですよね?」
首を傾げる沙耶。
「え? 部屋2つなんじゃないの? もう1部屋あったんだ?」
そう尋ねる愛未さんを無視する心菜。
「え? どういう事? ね、陽呂君」
ここで俺に振るか?
苦笑いを浮かべることしか出来ない俺。
そこで出たよ……天然が。
言わなくても良い事をサラッと。
「新婚なのに別々の部屋なんだねー」
あまりの笑顔で俺に言う林に思わず「そうなんだよ」って、言っちまいそうになる。
「えええ!?」
林の言葉に愛未さんが大きな声を出しながら心菜を見つめた。
「なっ、何で別なの!?」
「いーでしょ! 別にっ」
そう言い返すと、心菜はフンッと横を向いた。

