「大体あなたは時間にルーズになりすぎなのよ!あなたのせいで皆が迷惑するんだから。分かってるの!?」
「はい、分かってます…スイマセン」
あれから急いで部室に駆け込んだ蒼空だが、
結果はこの通り。会議はもう30分前に始まっており、
それから1時間近く部長によるお説教が続いている。
周りの部員はまたか、という目で見ていた。
「ったく、会議の内容は他の部員から聞いといて下さい。いいですね!それでは部活はこれで終わります」
メガネをかけ直しながら部長はそう言い帰っていく。
「了解です…」
「ということで琴音、内容教えてくれないか?」
同じクラスの水木 琴音(みずき ことね)に話しかける。
こいつにはあんまり頼みたくは無いんだけどな。
自慢じゃないが、友達が多くない俺は、
頼める人が琴音しかいないんだ……
「あー、はいはい、今夜のご飯でどう?」
「はァ、またかよ。ジュース一本でどうだ?」
だからこいつにはあまり頼みたくないんだ…
「えー、今回の話は重要な内容だったのにな~」
こいつ、ニッコニッコしてやがる。
「あー、もう分かったよ。買ってやるから教えろ」
蒼空は大きな溜め息をつく。財布を確認し、1000円を
取り出す。
「ほれ。これだけあれば足りるだろ」
仕方なく蒼空は琴音に1000円をやる。
「毎度あり~、んじゃ教えるね。さっきの会議はあんたの写真のことだよ」
……俺の写真がどうしたってんだ?
「それで?」
「あんた、蒼空に転校の話よ」
「は?」
何で俺が転校?
困惑している蒼空を見て琴音が説明を加える。
「だから、蒼空この間、写真出したじゃない。それが高く評価され転校ってわけ。よかったじゃない 。蒼空、凜華学園に招待されたのよ」
俺が凜華学園に?冗談だろ?
凜華学園って写真家やカメラマンを目指す人が通う高校の頂点に立つ高校だぞ。
出した写真って俺が帰りにいいな、と思って適当に撮った空だぞ。そんなのが気に入られたってのか?



