「さむっ…今は夏なのになぁ…」
夏の制服じゃ流石に寒い。
でもまだ日が暮れるのは遅い。

ゲーセン出た後、俺たちは近くの公園へ寄っていた。

「そうだね、でも夜はいつも寒くない?」
華那も夏の制服だ。

「蒸しっとした日もあるぞ。それにまだ夜というか夕方に近いな」
もう7時過ぎるのにまだ明るい。

「ってか5時間もいたのか…」
ゲーセンに…

「楽しすぎてあっという間だったな」

「…うん」


「それより早く帰らなくていいのか?まだ明るいといってもすぐ暗くなるぞ」

「大丈夫だよ。私の家まで20分ぐらいで着くし」
俺の家と近いな。

「それでも早く帰らないと親が心配しないのか?」
それを言うと、華那が暗くなった気がした。

「……私、両親いないんだ。いや、実際にはいるんだけど…捨てられたんだ」
本人は笑顔を見せているつもりかもしれないが、明らかに顔を引きつっている。

「わ、悪い。そんなつもりじゃ…嫌なこと思い出させちゃったな…」

「あっ、ううん、蒼空は悪くないよ」

「……俺も父親がいない。母親はいるけど外国に主張してる、というか外国で働いてる」

「そうなんだ…でもどうして?」

「ん?これでお互いにだろ?まぁ俺の方が少ないかも知れないけど…」
華那は一瞬、驚き、ふふっと笑ってくれた。

「よかった、笑顔に戻った」
華那の頭を優しく撫でてやる。

「あっ…」

固まったぞ?あれ?何かしたか、俺?

「あー、勝手に頭、撫でて嫌…だったか…?」
それしか浮かばなかった。

「いや、違うのっ!…そうじゃなくて…ただ嬉しくて…」

「そ、そうか」
やった俺も何か恥ずかしくなってきたんだけど…


「えっと、ありがとね」
真っ赤な顔を上げて言ってきた。

「俺は何もしてないよっと、じゃあ歩くか。送ってくよ」