「わぁ……」
華那は俺の手を離し柵まで歩いていく。

「キレイ…」
そこには夕陽が昇っていた。
紅く輝る光は空を真っ赤に染め幻想的な空を創り上げていた。


華那と隣に蒼空が並ぶ。

「そりゃな、ここは俺の一番好きな場所だからな」
蒼空も夕陽を眺める。


「ん、私もここが好きになりそう…」

「空ってすごいよね…人の気持ちを動かすことが出来る。
空というキャンパスに雲や太陽なんかで描かれて一回描いたらすぐに消えていく…」

華那は少し哀しげな表情を見せる。

「でもそれがいいんだよ。空というキャンパスには終わりがない。ずっと描き続けられるんだ。空も人も同じだ。どっちも完璧にはなれないんだ。だから人は前を向いて歩けるんじゃないか?少しでも…」

「………そう、だね」
今にも消えていきそうな声だった
「ん?どうかしたのか?……って華那…」

泣いてる…のか?


「うんん、何でもないよ…何でも…」
制服の袖でぐしゃぐしゃと目を擦ると元の笑顔に戻った。

「…そっか」

「でもお前、目が赤いの隠せてないぞ」


ビクッとした後に華那はもう一度目を擦る。

「ってかその時点でダメだろ…」

「……バカ」

華那は恥ずかしかったのか下に視線を落としている。

「えっ?」


「…バカっ!って言ったのよ!」
と大声で言われた。

「バカってお前なぁ…」

その後は二人して笑ってしまった。